宮城県から岩手県南にかけて、すなわち陸前地方(旧仙台領)にスレート葺きの民家・集落が広がっている。明治に始まり、主に昭和戦後になってから、広域にわたって天然石の屋根が普及して、地域ごとの景観を見せている。東日本大震災で多くが失われたが、2017年時点での現存数は2,000棟を優に超えるとみられる。特定プロジェクト「スレート千軒講」では、スレート葺き民家・集落の生活景保全に向けて、次の3つの柱を立てて取り組んでいる。
スレート千軒講(LS)
現状の確認
- (1)スレート千軒講
-
- ① 分布状況の情報共有
- ② 材料の保管等により
- ③ 建物保全を図り、30年後、50年後も千軒程度が残っている状況を目指す広域共同体的な活動体制の構築
- (2)スレートアカデミー
-
- ④ 建材生産や屋根葺き技術の後継者育成活動
- ⑤ 同技術の発達史的解明や改善をめざす研究活動等
- (3)スレートコアトリエ
-
- ⑥ 石材の利用法開発研究。前記①~⑤を支えつつ、歩留まり1割にも満たない板材生産の端材を活かした新たな利用法開発を地元発で実践検討。
課題への対応
2017年度は、雄勝大須、元吉入谷、登米寺池、陸前高田矢作の四か所で、ワークショップキャラバンを計画し、スレート屋根景観の保全に向けた議論や技術継承のためのスレートアカデミー開催を重ねている。