第1回 雄勝 スレート千軒講+スレートアカデミー

第1回 雄勝 スレート千軒講+スレートアカデミー

2017年7月6〜8日
会場:ともいきハウス(旧大須保育所)石巻市雄勝町大須

雄勝石といえば硯そして、石盤・スレート。いわずもがなこの地の資源を巧みに利用した石材産業だ。詳しくは、コアトリエvol・1/2017 春号を参照されたい。しかし先の震災によって技術、技能それらの発展とともに形成されてきた景観(=生活景)の多くを失った。類例のない生活景であった。我々のスレートワークショップキャラバン2017の幕開けは、雄勝からでなければなるまい。雄勝半島東端の大須地区。ここは漁港から傾斜する地形に沿って集落形成され、他の浜に比べればスレート家屋が残っている。記録調査はここ大須から始まった。併せて、天然スレートの雄勝十五浜として、民俗研究家の今泉俊郎氏が撮った震災前のスレート風景写真を、会場に展示公開した。3日間の会場は、ともいきハウスという旧保育所を地域支援活動の拠点施設として運営するNPO団体の協力を得て行うことができた。

2日間の調査では、主屋、付属屋の別なくスレート家屋すべてを画像記録し、聞き取り調査が可能な家屋にあっては、築造年、屋根職人、家業などの情報収集を行った。雄勝の石は表情が豊かだ。黒色の肌理に灰色の縞目を持つものや、あばた面のへき開面など不均整なものが多く混在する。いかにも自然素材という質感をもつ。後日、石巻市千石町で屋根工事業を営む四倉俊成氏に『雄勝の石を葺けて一人前』という言葉を教えて頂いた。その言葉のとおり不均質で不均整な石材のクセを見極めながら加工し葺く。まさに、職人の眼力とセンスが創造する雄勝固有の生活景だ。また、新たな発見も得た。一見、鋼板葺きに見える屋根でもその中には、スレート屋根の上に覆い被せた鋼板屋根が複数あることを確認した。農村では萱葺き屋根に鋼板を覆い被せたものを見ることは少なくないが、スレート屋根にも同様のものがあったことは驚愕した。

3日目は、スレート職人の佐々木信平氏と雄勝住民を交えたワークショップを行った。参加者は、地元の老若男女に加え、石巻市稲井や仙台から十数名の参加を得た。震災後、仙塩地区に就職したがこの夏、石巻市内に職を求め大須の実家から通勤することにした25歳の青年A氏曰く、大須が好きなのだという。しかしこの言葉は、多世代共創による持続可能な地域社会の実現を目標とする我々にとっては、あまりに厳粛な一言とされる。古老からは、『雄勝では恥ずかしくて外国の石は使えない。』と発せられると、ご婦人からは、『数年前、自宅建設の折に全て処分してしまった。まだ使えるとは知らなかった。』と続いた。高い誇りの一方で、質、量ともに不足する現地の情報の実態を目のあたりにする。
多世代、多地域からの参加を得て開催したワークショップは、この地に技ありプロジェクトの原理に触れたようでならない。

キャプションがあれば入ります

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